甘口・辛口の見分け方
日本酒の飲みやすさを測るひとつのバロメータとされているのが「甘辛度」。料理に合わせる際にも指標として用いられることの多い、日本酒の甘さや辛さはいったいどのようにしてきまるのでしょうか。
日本酒度、酸度、アミノ酸度のバランス
日本酒の「甘い」「辛い」は日本酒度、酸度、アミノ酸度のバランスによって決まります。
例えば「日本酒度」はそのお酒の中に糖分がどれくらい残っているかを数値で表したもので、一般的に糖度が高ければ甘口に、糖度が低ければ辛口、ということになります。
同様に「酸度」が高ければ辛口に感じ、逆に酸度が低いと甘口に感じやすいことから、酸度についても甘口、辛口を決める指標の一つとされています。
また、酸度は日本酒の「キレ」を印象付ける上でも重要な指標となっています。ビールなどのCMでよく聞くこの「キレ」という言葉、元々は日本酒の醸造業界で使われていた言葉なんです。
「アミノ酸度」は文字どおり、そのお酒の中に含まれるアミノ酸の量を示したもので、こちらの数値はいわゆる「コク」を生み出す指標とされています。また、旨味成分として知られるグルタミン酸やイノシン酸などがアミノ酸の一種であることからもわかるように、日本酒の旨味を印象付ける上で欠かせない指標の一つです。
アミノ酸の含有量が多ければ濃厚で芳醇な味わいになることから「甘口」、アミノ酸の含有量が少なければ端麗辛口のすっきりとした味わいになるとされています。
上記の要素が複雑に絡み合って決まる日本酒の味。試飲してみなければなかなか甘辛の判断がしづらいのですが、おおよその目安として参考にするのであれば、ラベルの表記を確認してみるのが良いでしょう。
ラベルの日本酒度に「+」の表記があれば辛口、「-」の表記があれば甘口となります。
一般的に「辛口」の日本酒は口当たりがスッキリとしていて喉ごしが爽やかなお酒、「甘口」の日本酒は口に含んだときや、喉元を通り過ぎるときに甘みを感じるため、初めて日本酒を飲む人でも飲みやすい味わいとされています。しかし、実際に飲んだ時に感じる味わいは十人十色。酒器や一緒に楽しむ料理などの影響で感じ方が違ってくることもあります。あくまでも日本酒度が表す「甘口」「辛口」は便宜上のものとして参考程度にとどめておいて、実際に試飲をして購入することをおすすめします。